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 万年筆はどんな筆記具なのでしょう?
日頃使っている道具のことを知るのも使いこなしの第一歩!少し勉強してみましょう!!


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万年筆の歴史
万年筆の仕組み
インキ吸入式とカートリッジ式
デスクペンとの違い
万年筆の使い方
万年筆のお手入れ
万年筆選びのアドバイス



万年筆の歴史

 1884年、アメリカ人のウォーターマン氏が世に出した筆記具がいわゆる「万年筆の元祖」と呼ばれています。ウォーターマン以前にも世界中には万年筆らしき筆記具は多数存在していましたが、インクのボタ落ちが多く、使い勝手も悪かった様です。彼の発明が偉大だった点は、インクの制御に毛細管現象を応用し、従来品の問題点をほぼ完全に解決した点です。現在、世界中で生産されている万年筆も全てこの毛細管現象を応用しています。
 因みに、ウォーターマン氏の発明の50年以上前に、日本人も驚異的な発明をしています。それは1823年に近江の鉄砲鍛冶師、一貫斎国友藤兵衛が作った「御懐中筆」というものです。綿が詰め込まれた青銅製の軸に筆の穂先が取り付けられた筆記具で、軸に蓄えた墨汁でいつでも書き出せるという原理は、どちらかというと現在の筆ペンの元祖といえそうですが、万年筆の元祖とも呼べる画期的な発明でした。


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万年筆の仕組み


 万年筆のインクは、細かい溝が彫られたペン芯という部品を伝ってペン先に供給され、スリットというペン先の裂け目を伝って文字を書くことができます。使わないときはボタ落ちせず、紙に軽く触れるとインクが流れて字が書けるのは、毛細管現象を応用しているからです。毛細管現象は、ペン先とその裏に取り付けられたペン芯との絶妙なセッティングによって機能しています。このセッティングを変更することでインクの出を調節できますが、それが不適切な場合、インクが漏れたり、字がかすれたりします。
 重要な部品について少し詳しく説明します!→ ペン先について     ペン芯について


 上の写真はパイロットの代表的な万年筆、カスタム74を分解したものです。他の万年筆も概ねこの様な構成になっています。部品の名称は、左から順に、ペン先(ニブ)、ペン芯、首軸、胴軸、キャップ(鞘)となります。
※万年筆のペン先、ペン芯、首軸部分はユーザー様での分解を想定して設計されておりません。特にペン先とペン芯の組合せは非常に微妙な調整が必要ですので、絶対にご自分で分解しないで下さい。


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インク吸入式とカートリッジ式

 万年筆のインクはカートリッジ式が一般的です。これなら、差し込むだけでインクの補充ができて手も汚れず楽です。しかし、ドイツ製のモンブランやペリカンの万年筆では内蔵されたピストン機構を操作して、インクボトルから直接吸入するものがあります。これは少し手間が要りますが、趣のある作業で、愛好家やマニアの間ではむしろ吸入式の方が好まれます。しかも、カートリッジ式はそのメーカーの決まった色しか使えませんが、吸入式なら違うメーカーの様々なインクを使えます。同じ黒や青のインクでもメーカーによって微妙に色が違いますし、グリーンやブラウンなどの変わった色も発売されているので、お気に入りのインクを見つけるのもお薦めです。ただし、万年筆のインクは単なる色付きの水という訳では無く、各メーカーの万年筆(ペン芯)で最適な性能を得られる様に、ペーハーや粘度、色材、各種添加薬品等の配合を決めております。その為、万年筆と違うメーカーのインクを用いた場合、インクの出が良過ぎたり、悪くなったり・・・本来の性能を発揮できない場合もございます。また極端なインキの場合には万年筆の故障の原因となるものもございますので、十分ご注意下さい。メーカー純正インク以外のインクを使用される際はあくまでお客様の自己責任においてお使いいただくことになります。

カートリッジ式の万年筆でも、別売のコンバーター(吸入器)を取り付けることで吸入式として使うことができます。高級品の中には最初からこのコンバーターが付いているものもあります。  また、少し変わったタイプとしては、カートリッジ式でも吸入式でも無い、特殊な方式として、スポイトでインキを補充して使うインキ止め式と言うものも存在します。これは何十年も前に普及していた方式で今では日本のパイロット社がナミキブランドなどの超高級品で僅かに製造しています。インキ止め式(インク止め式)の使い方は別のページにご紹介しておりますので興味のある方は是非ご覧下さい。
※コンバーターはそれぞれ専用のものを使いますのでご相談下さい。
※メーカーによってはペンとインクの相性が悪いものもありますのでご注意ください。


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デスクペンと万年筆の違い

 ペン習字や履歴書の記入によく使われるデスクペンも万年筆です。一般的にクリップ付きでポケットに差して携帯することができるものを万年筆と呼び、卓上使用を前提にクリップ等の装飾を省きコストを抑えた万年筆をデスクペンと呼んでいます。デスクペンはペン習字や履歴書の記入に使われるケースが多く、スチールペン先のものが殆どですが、一部に金ペンを用いた高級品もあります。


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万年筆の使い方

 最近は万年筆を使う方も減ったので、若いお客様の中には万年筆の使い方を全く知らない方もおられます。特に、ペン先の向きをどうやって書くのか迷われるようです。ペン先の裏表が分からない方も結構おられます。万年筆の使い方は特に難しいものではありませんが、ボールペンやシャープペンと比べると若干制約がありますので、少し説明してみます。

ポイント
@ 先ず、ペン先は金色の文字が刻印された面を上にします。(結構、裏返しに書こうとする方が多いです。)
A あまりねじらずに、左右のペンポイントができるだけ紙に対して平行になるように書きます。
B 万年筆は軽い力で書くことができます。力まず軽く握ってください。
C ボールペンで書くときよりも少し寝かして書きましょう。滑らかに書くことができます。
D 5分以上使わないときはすぐにキャップを閉めましょう。インクが乾燥してしまいます。

 以上の様な事に気をつければOKです。ちょっと制約が多いと思われるかもしれませんが、ある程度の書き癖は万年筆の方で許容してくれます。多少筆圧が強かったり、ひねり気味、立て気味で書いてもOKですので、気楽な気持ちでどんどん使ってください。使い込めば、手に馴染んで二度と手放せない万年筆になるはずです。 昔のペンは今よりも軟らかいペン先が多かったですので、ペンは少し寝かせ気味で、筆圧は軽く書くのが良いとされていましたが、最近の万年筆は、ボールペン等、強い筆圧で立て気味に書く筆記具に慣れた方にも使いやすい様に改良されたものが多くなっています。その為、無理にペン先を寝かせたり、筆圧を軽くする必要性も少し薄れていると感じます。中にはある程度筆圧をかけた方が良い万年筆もあるくらいです。初めて万年筆を使われる方もあまり緊張せずに、先ずは、自分の書きやすい持ち方で苦にならない様にはじめるのが一番かと思います。


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万年筆のお手入れ

 万年筆の最大のネックは手入れが必要なことかもしれません。いつも快適に書く為には3ヶ月に1回程度インキを全部抜いて水洗いすることをお薦めします。特に、使用頻度が少ない人ほど定期的なお手入れが重要になってきます。簡単にできるので、是非チャレンジしてください。

 洗浄方法(ここではカートリッジ式の場合をご紹介します)
@ 先ず、万年筆からカートリッジを取り外します。(一度抜いたカートリッジは再使用しないで下さい。)
A 首軸ごと軽く水道水ですすぎます。
B コップにぬるま湯を用意します。(あくまでぬるま湯で!熱いお湯は厳禁です。)
C Bで用意したコップに万年筆を首軸ごと浸します。(ペン先を下にして、全体が浸かる程度。)
D すぐにコップの水がインクで染まりますので、何回か水を入れ替えます。
E インクの出方が落ち着いてきたらそのまま、一昼夜水に浸けておきます。
F 最後に水道水で軽くすすぎ、よく水を切って乾かします。

 これで、洗浄は完了です。多少インクが残っていてもOKですが、インクの色やメーカーを変更する場合はBCDの方法を繰り返してより丁寧に洗浄すると良いでしょう。コップはガラスコップよりも500mlのペットボトルをカッターで切って使うのがお薦めです。ちょっと自信が無いという方や、汚れがひどい場合、インクが乾燥して固まってしまった場合等は、スミ利にご持参いただければ洗浄を代行(有料)いたしますので、ご利用下さい。※状態により洗浄方法が異なります。また数日お預かりする必要がございますので、ご了承のほどお願いいたします。

最も効果的なお手入れは毎日少しづつでも使うことです!
 インクが毎日少しでも流れていれば固まったりすることは有りません。私の場合、比較的固まりやすいとされるブルーブラックのインクを使っていますが、毎日書いているので半年近く洗浄しなくても快適です!せめて3日に一度でも何文字か書くと効果絶大!軸なども手で触ることが一番の手入れ方法ですので、せっかく手に入れた万年筆はがんがん使ってやりましょう!


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万年筆選びのアドバイス

 数多い商品の中から自分に合った万年筆を選び出すのは大変です。ここではスミ利が店頭でお客様にアドバイスしていることを少し書いてみます。

@ やはり好みのデザインは大切!書き易くてもデザインが気に入らなければ使う気になれません。
A ペン先の字の太さは? 手帳に使うのか、手紙や日記に使うのかでも違ってきます。下記参照
B ボールペン等とはそもそも書き方が違います!いつもより太い軸の方が使いやすいこともあります。
C 予算の許す限り、金ペンをお薦めします!又、高価な物ほどペン先の研磨が丁寧で滑らかです。
D 必ず試し書きをしましょう!太さ、長さ、重さは最適か?ペン先の字幅、滑りはどうか?確かめてください。
E 試し書きするときは、名前や住所などの書き慣れた文字で試しましょう!
F 筆圧は強い方ですか?強い方は少し固めのペン先をお薦めします。

 ポイントは色々有りますが、概ねこんなところです。特に重要なのは試し書きです。お店では緊張してなかなかいつもの調子で書けないかも知れませんが、手に持った感触や、字の太さ等を確認するのは大事です。あと、万年筆は基本的にあまり筆圧を必要としない筆記具ですので、グッと握る感じではなく、軽く持って書き易いペンを選ぶのが大切です。ですから、普段使っていて書き易いと思うボールペンの軸よりも、ちょっと太目の方が良い場合があります。見た目だけで選ぶよりも、実際手にとって選んでください。

ペン先の字幅と主な用途

字 幅 お薦めする用途 特徴
極 細 ペン習字・履歴書・手帳 他 日本文字を美しく見せる反面、字の誤魔化しが効きにくい面も。
細 字 ノート・日記・手帳・手紙 他 少し細目で色々使える一般用。先ずはこれが基本!
中 字 日記・手紙・宛名書き・サイン 他 少し太めの筆跡。細字に次いで一般的なペン種です。
太 字 手紙・サイン・宛名書き・原稿用紙 他 太くて、万年筆らしい線が特徴。男性に人気です。
極 太 手紙・サイン・宛名書き・原稿用紙 他 豪快な太さ。滑らかで書き味抜群!

 ペン先の種類はこの他にも中細や超極太、左利き用など多数発売されています。極細の様に、ペンポイントが小さくなるほど書くときの抵抗が大きくなり、多少引っかかりやザラツキを感じやすくなります。逆に太くなるほど抵抗が少なく滑らかに書けるのですが、字が太い分インクもたくさん出るので、インクが乾くのに時間が掛かったり、紙によっては滲んだり、裏抜けしたりします。主たる用途が分かっている方が撰びやすいと言えます。プレゼント用の時は、細字か中字を選ぶと老若男女問わず喜ばれますが、贈る相手が若い方や女性の場合、細字を選ばれると良いでしょう。迷ったらお気軽にご相談下さい。
尚、海外メーカーの万年筆は、F(細字)、M(中字)などと表示されていても、日本メーカーのF(細字)、M(中字)よりもそれぞれワンランク太目の線になります。これは欧米ではアルファベット等の筆記が中心なのに対し、日本では漢字など複雑な文字を多用する為です。メーカーによっても異なりますが、概ね日本の細字が海外の極細、日本の中字が海外の細字、日本の太字が海外の中字に相当すると考えてください(あくまで参考の表現です。実際に万年筆をお選びいただく際は試筆をして決定してください)。


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