IT社会の不安

23日の土曜日から、世間を騒がせているウイルス対策ソフトによるシステム不良ですが、スミ利のコンピューターにも影響が有りました。皆さんのパソコンはいかがでしたか? 23日の午前中に、パソコンでインターネットに接続していると、何やらどこかのウイルス対策ソフトが原因で新聞各社やJRにシステム障害が起きているとか言うニュースが載っていました。まだこの時点では、そのソフトがトレンドマイクロ社のウイルスバスターであるとは明言されていませんでしたし、使用中のパソコンに影響も出ていなかったので、「へー、大変やなー」等とそれほど気にも止めませんでした。

それからしばらくして、もう一台有る別のパソコを使う為、マウスを操作したところ、動作が鈍く、インターネットにも接続できません!あれっ、と思いWindowsを再起動してみたのですが、何とWindowsを終了することもできません!何回か起動と、電源ダイレクト切りを繰り返してみたのですが、全然改善される気配が有りません。パソコンのフロントパネルに2個取り付けられている冷却ファンがフル回転で作動していたので、これはCPUの稼働率が異常に上がっているのかな?と言う事は薄々分かったのですが、さっきのシステム障害のニュースなどすっかり忘れていたので、ひょっとして今話題になっているスパイソフトウェアに侵入されているのかな!?とか、何か妙なウイルスに感染したのかな?? 等ととても心配になりました。あれこれ考えている内に先程のニュースの事を思い出したのでした。

同じくウイルスバスターが入っている別のパソコンを操作してみると、幸いにも症状が出ていなかった為、インターネットに接続!早速情報収集の為、トレンドマイクロ社のWEBサイト内を探し回ると・・・有りました!まだこの時点では同社もそれほど大事になるとは思っていなかったのでしょう。小さくトラブルが発生しているという事実と、対策方法が明記されていました。それによると、更新されたファイルの不具合でCPUの稼働率が100%になってしまう云々・・・、と有りました。対応策として、セーフモードでWindwsを起動させ、ハードディスク内の該当するファイルを削除してくれとのこと・・・。早速、その対策方法を試みようとしたのですが、Windowsが上手くセーフモードで立ち上がりません。通常モードでも何とかマイコンピュータ経由でファイルの一覧が表示できたので、そのまま、該当するファイルを削除することにしました。作業は上手くいき、すぐに正常な状態に戻すことができました。「ふー!やれやれ。今回は大事にならなくて良かった良かった!」と胸をなでおろしたのでした。

ところが、後になってくるとこれはエライ大事に発展していたのですね!確かに、うちの様にたまたまパソコンが2台以上有って、運良くそのうちの1台が悪影響を受けなかったから、冷静にインターネットで現状を把握し、対応策を知ることができたのですが、家や事務所に1台しか無いパソコンがおかしくなった場合、一体何が原因でトラブルが発生しているのかを確認するすべも有りません。当然ながらネット経由で対策方法を知ることも不可能です。大きな会社にしても、同じ条件で一斉にプログラムを更新する設定になっていれば、それこそサイバーテロか何かと勘違いしても無理は有りません。インターネットやパソコンに依存する社会がどれほどもろいものなのかが浮き彫りになったのでは無いでしょうか?

今回は、ちょっとしたパニック状態から、Windowsの無理なシャットダウンを試みたり、間違った操作をした為、かなり深刻なダメージを受けたパソコンも有った様ですね。以前から思っていることなのですが、パソコンがこれほど社会への影響力を持つようになったのに、それを取り巻く環境は極めてお粗末で無責任なものだと思うのです。例えば、賛否は有りますが自動車の世界には車検や定期点検が存在し、自賠責保険や任意保険なども整っています。欠陥や不具合が発見されればリコールも出されます。運転中の車に何かトラブルが発生すれば、ロードサービスを呼び、自動車整備工場で修理することくらいは、免許を持った人ならだれでもできます。そうそう、そもそもクルマを運転するには免許が要りますよね。

ところが、パソコンの世界には、ユーザーを支援する環境や、社会を構成する要素としてその健全性を維持する為の仕組みが全くと言って良いほど整備されていません。正直、自宅のパソコンに何かトラブルが発生しても、絶望的に電話がつながらないメーカー、メーカーへの取次ぎもままならない販売店・・・etc. 一体誰に相談すれば良いのでしょうか?例え相談できても解決できるとは限りません。勿論、一部のメーカーや販売店では独自にサポート体制を充実させていますが、「独自」という次元では駄目だと思います。社会としてサポートできる規模が必要だと思います。故障した車を近くの車屋さんに持ち込むと言う様な感覚とは程遠いものですし、車検切れ、整備不良のクルマ、スピード違反、一時停止違反のドライバーを取り締まる様な仕組みもありません。

パソコンは子供から大人まで利用に制限が無く、多くの人々の財産や、下手すると生命にまで影響を持つようになっています。個々のパソコンがインターネット等で結ばれたことによって大きな価値を生むのですから、あらゆることを自己責任として一個人に押し付けるのは限界が有ると思います。現状は、企業から個人まで個々に対策や管理をお任せしている状態です。皮肉にも、悪意有るウイルスに対処する為のソフトウェアが原因で世の中に大きな影響をもたらした今回の事件。たった1個のファイルが原因で名だたる企業の機能が麻痺した事実は大変深刻に受け止めなくてはならないと思います(トレンドマイクロ社の責任というだけでなく)。自動車も発明後100年以上経って現在の状態に落ち着きました。パソコンを始めとするIT産業はまだまだ黎明期を脱していないのかも知れません。現在のIT社会は、簡単な運転免許一つで車から大型バイクまで乗り回せたり、バイクにヘルメットが要らなかった時代と、同じ程度なのでは無いでしょうか?コンピュータが発明されて約50年経ちますが、結局は更に50年程度経過しなければそこそこ安心できるIT社会はやってこないのでしょうか?皆さんはいかがお考えでしょうか?


2005年4月25日   藤井稔也



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