貴重な25倍ルーペ


今回は、スミ利が万年筆のペン先を見るときに使っている高倍率ルーペのお話です。万年筆のペン先を調整したり修理する時には高倍率のルーペを使用します。肉眼で一見、整っている様に見えるペン先でもルーペで覗くと左右のペンポイントが微妙に喰い違っていたり、隙間が開き過ぎていたりします。この様な状態で紙に書くと、ペン先がザラついて書き味が悪かったり、インクが出過ぎたり、逆に出なかったりするのです。正確な数値までは分かりませんが、コンマ何ミリという調整を指先の感覚だけで行いますので、調整による変化をきっちり目で確認できる高倍率ルーペが必要不可欠なのです。

ルーペ    ルーペ
このページの一番下に、実際にペン先を覗いた写真があります。


スミ利で使っているのは25倍レンズのメタルホルダータイプで、30年近く前に某万年筆メーカーさんからいただいたものです(上の写真)。実は10倍や20倍程度の製品は出回っているのですが、それ以上の高倍率となると現在は殆ど出回っておらず、非常に貴重品なのです。スミ利にはこれ1個だけなので、無くしたら怖いと思い、方々探し回ったのですが、結局見つかりませんでした。友人がネットオークション等でも探してくれましたが全然無かったと言うことです。宝石鑑定用や、カメラ、時計の修理用でもここまで高い倍率の物は使用していない様です(人によって違いますが)。

では、10倍や20倍等のルーペでは駄目なのかと言うと、中字よりも太いペン先を見る場合や、お客様が個人的に使われる分には10倍程度でも問題無いと思います。しかし、中字よりも細いペン先、特に極細のペン先ともなると、やはり25倍程度は必要だと思います。ある万年筆マニアの方に、ご愛用の10倍ルーペを覗かせていただいたところ、レンズも大きくて意外と良く見えた(気がした!?)ので、後日1個注文してみたのですが、やはりペン先の調整や修理に使えるレベルではありませんでした。特にスミ利ではペン習字用に極細ペン先を好まれる方が多くいらっしゃるので問題です。

逆に25倍よりも高倍率になると、レンズの直径自体が小さくなるのと、ピントの合う範囲が極端に狭くなるのとで非常に見難いため、ちょっと実用的ではなくなってしまいます。本当は30倍程度の顕微鏡なんかを使うと良いのかもしれません(笑)。25倍のルーペは万年筆以外に使い道が無いのかもしれませんが、何故どこのメーカーさんも作ってないのでしょうか?今持っているのを無くしたり壊したりしたら、冗談じゃなく顕微鏡を使わなければならなくなります!!皆さんの中で、25倍ルーペの情報をお持ちの方がいらっしゃったら是非教えてください!

2007年2月 追記 (2007年2月28日)
いつもお世話になり有難うございます。このコラムで25倍ルーペのことを書きましたところ、読んでくださった多くの方から情報をいただきました!どうも有難うございます!!皆様の光学製品に関する知識の深さに感心いたしました!レンズと一口に言っても奥が深いものですね! 残念ながら25倍ルーペそのものは現在は存在しない様ですね。代わりに、20倍や30倍のルーペの情報や、ニコンのマクロレンズ(本来はデジカメに取り付けて使うそうです)の情報をいただきました! 教えていただいた情報を元に色々と探してみたのですが、今は廃番で手に入らないものもいくつかあり、一先ず今回は入手しやすいビクセンのメタルホルダー20倍と、ニコンの携帯用ルーペを購入してみました。残念ながらビクセンのものは若干クリアさに欠ける印象ですが、25倍よりもレンズが大きくこれはこれで使いやすいと感じています。またニコンの製品は2枚のレンズを重ねて約20倍になるもので、レンズは凄く大きくて見やすいですが、ペン先自体はあまり大きく見えないのが残念ですね。ただ、どちらも携帯するには便利で(どちらも比較的入手しやすいので万一落としたり壊しても安心!?)、メーカーさんの展示会に行く時も気軽に持って出かけられるのが嬉しいです! 今は、3種類のルーペを色々と使い分けて活用しております。 皆様からご紹介いただきました製品も機会が有れば試してみたいと考えております。ご教授、どうも有難うございました! スミ利文具店 藤井稔也


25倍の世界を激写!
25倍の世界!

ちょっと見にくいですが、大体こんな感じに見えています(実際はもうちょっと大きく見える)。
因みに、ペン先はパイロット社の細字です。
ピントの合う範囲(被写界深度!?)が狭い為、慣れないとなかなか対象物がつかめません。



2004年8月26日   藤井稔也


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