コラム 昔の筆記具@「ニューマン」
久々のコラムで何を書こうかと思っていたところ、ふと目に留まったのが売れ残った古い筆記具。もう何年も前に店頭からは撤去して今は私の部屋に保管していますが、その中に今は存在しない筆記具ブランド「ニューマン」のシャープペンが・・・。そう言えば13年??くらい前だったかな?その当時はまだ会社が残っていたニューマンさんに高校生だった私は一度電話をかけたことがありました。
高校生の頃から家業の文具店に興味が有った私は、売れ残りとして打ち捨てられていた古い高級筆記具の数々に興味津々でした。当時は、世間でも万年筆、高級筆記具に関する風当たりは悪く、さっぱり売れない状況でした。往時は文具店の花形であった万年筆、高級筆記具の陳列ケースも長年の売れ残りや不良品が新旧入り乱れてぐちゃぐちゃに突っ込まれている有様・・・。パーカーでもモンブランでも、普及クラスの旧製品は単なる型落ちとしか見られないのが現実で、ただでさえ万年筆を使う人が激減した状況では正に叩き売りの状態でした。そんな時代、まともな経営者がいる文具店ほど、万年筆、高級筆記具の販売をやめるか大幅に縮小するのが定石だった様に思います。
そんな折、まともな経営者がいなかった(笑)うちの店は、それでもまあ膨大な数の在庫品を整理することなく(それはそれで問題なんですけど)、万年筆やら高級筆記具の販売をダラダラと続けておりました。丁度、その当時うちの担当をしてくださっていたパイロットの営業マンが高校生の私にもバカにせず色々と教えてくれたり、熱心に高級筆記具ウインドウの再構築を提案してくださったこともあり、うちの店は同様の他店に先んじて、パイロットのカスタム・シリーズを中心に再び万年筆が売れる店になっていった訳です。15年くらい前の話でしょうか(ですので、折りしも新発売となったカスタム74や742、743には思い入れが強いんです)? そんなこんなで、店に残っていた古い高級筆記具の数々もちゃんと整理すればまだまだ売れるものが多かったですので、夢中になって整理、確認していた訳ですが、当時既に耳慣れないメーカーであったニューマンの製品に興味を持ちました。
ニューマンという会社は東京に本社があった筆記具メーカーさんで、主にシャープペンやボールペンを製造しておられました。金属ボディーの筆記具に独特の加工技術を施したものが多く見受けられ、金属加工技術に強みを持ったメーカーさんだった様です。特にシャープペンには面白い製品が多く、何と!0.2ミリ芯のシャープまで製品化されていました(残念ながらこの0.2ミリ芯シャープは唯一専用のプラスチックケース&取り扱い説明書付きで残っていたのですが、数年前に売れてしまい、写真がございません)! 親父に聞くと、いつどこの問屋から仕入れていたかもさだかでは無いとのこと(笑)。当時、既に店頭では殆ど見かけないブランドでしたし、まだニューマンと言う企業が存在しているのかどうかも分からなかったのですが、今どんな商売をされているのだろうか?もしまだ筆記具をやっておられたら、何かうちで仕入れて売れるものは無いだろうか?などと思いつつ、県立図書館で東京のタウンページを調べ(笑)、いきなり電話をかけた記憶が・・・(笑)。高校生だからなせる業ですかね(汗)。当時はインターネットなんてものも全然普及してませんでしたし。
探しに探してようやくそれらしい会社名を発見!当時、ニューマン社は電話帳には確か「万年筆製造」とか「筆記具製造」として掲載されていたと思います。やっぱり今でも筆記具を扱ってらっしゃるんだ!と、少し安心して電話をかけた記憶があります。電話には若い男性が親切に応対してくださり、「実はニューマンさんは今は筆記具のほうはやめて玩具の金属部品なんかを作る仕事に変わっているんです。以前は筆記具を色々とやっていたんですが・・・」とのこと。あー残念! しかも、その男性が自分の会社のことを「ニューマンさん」と言っておられたのがひっかかりました。どうも正確にはニューマンの社員さんではないのでは???との印象を受けました。どこからか出向で来ておられたのかも知れませんが、色々とややこしいこともあったのかも知れませんね。そんな訳で私のニューマンとの接触はそれが最後・・・。いつしかそんなことも忘れて月日が流れた訳ですが、いつだったかふと思い出して、また電話帳を調べたのですが・・・ついに筆記具のニューマンさんの名前を見つけることは出来なくなっていました。
こんな感じの製品を作っておられたんですね。昔のシャープの替え芯もありました(汗)。
0.5ミリ芯ですが、こんな金属の筒に入って売っていたんですね。いつ頃のものだろうか・・・。
ステンレスボディーの「スーパー5」当時の価格¥2,000です。 独特のデザインですね。
上の写真がスミ利に残っていたニューマンの製品です。どれもシャープペンです。探せばあと数本はあるかと思いますが・・・。どれも金属加工が特徴的でユニークなデザインですよね! 昔はボールペンの替芯なんかも残っていましたが流石にそれは捨てちゃいました(笑)。 ステンレスを独特の模様に加工したシャープペン、スーパー5ステンレスは、当時の価格が¥2,000と結構な高級品だった様です。 シャープペンの芯も金属の筒に入って売られていたんですね。 「NEWMAN」のロゴもカッコいいですよね。 ニューマンという会社に関しては、もう業界の人でもあまり詳しく知っておられる方が少なくなっている様です。私もよく知りませんし・・・(汗)。こうしたメーカーさんが姿を消していくのは寂しいものですね。
※このコラムの内容、特にニューマン社についての記述は私が高校生の当時の記憶に基づいて想像も交えて書きましたので、不正確な部分も多々あるかと思います、何卒ご了承ください。情報をお持ちの方で、文章の訂正や修正が必要と思われた方がおられましたら、是非ご教授下さい。
2008年9月7日
スミ利文具店 藤井稔也